インバネスコート(インバネス)とは元々19世紀ごろスコットランドのインバァネス(英名Inverness)地方で良く着用されていたので、このように呼ばれるようになったようです。 ヨーロッパで広く着用されていた元々のデザインには袖があり、その上部に肘丈から手首丈位のケープが付いていたようです。 その後、幕末頃から明治時代になると、コートなど余りない時代であったので、小説家や地元の名士など文化人や上流階級が好んで、そのインバネスコートを仕立屋に製作させて着用していたようです。 当時の日本人は、和服の上からでも着用できるように、発注者が工夫して、袖の無い取り回しの楽なものなどをオーダーしていたようで、現存するインバネスを見ると、着丈やマント(ケープ)丈、ケープ脱着可、不可、袖あり、袖なしと様々な形をしています。 『wiki』でインバネスを調べると、広い意味でのインバネスと、狭義では鳶(トンビ)(後ろから見ると羽を広げた鳶に見える)・二重回しまたは二重マント(ケープが身頃の上に一周ぐるりと付いている)など説明が記載されています。 現存する当時のインバネスのディティールなども様々で… 襟のデザインは、バルカラーや、その上に脱着の出来る毛皮襟がつくもの、チンストラップ内蔵のもの。 前身頃にあるポケットは箱ポケットや玉縁ポケットでハンドウォームの役割を持つ為、別珍などを張ってあるものなどあり、裏ポケットは南京か揉み玉で数は様々。ケープにポケットの付いているものなども存在する。 当時の物に使用した素材は、メルトンなどの圧縮ウールが多いようで、着た感じ少し重たいが、風を通さず暖かいなど…。当時のものの特徴として、兎に角丁寧に、細部まで手作業で(当然、機械化はされていないから当り前なのだろうが…)しっかり手間をかけて作られているものが多い。 その後、インバネスや鳶(トンビ)は明治時代〜昭和初期頃まで着用されていましたが、和装から洋装に生活様式が変わっていくのと連動して余り一般的に着用されなくなっていったようですが、現在でも、一部の熱烈なファンや和装の女性層などに根強いニーズがあるようです。 現在、製作されているものの多くは、素材をウール、カシミヤ、絹で製作されているようで、ディティールなども昔のものを多少アレンジしてあるものなど、多種多様なデザインのものが存在するようです。 |